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売掛金が回収できない場合の対応策とは?リスク回避のために与信管理を徹底しよう
売掛金の回収が滞ってしまうと、資金繰りが厳しくなり経営が悪化してしまう危険性があるため、できる限り早めに対処する必要があります。しかし取引先によっては、スムーズに支払いに応じてもらえないことがあり、どのように対処すればよいか悩まれている企業の人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、売掛金が回収できないときにやるべきことや未回収によるリスク、回収不能になった場合の7つの対応策について解説していきます。
売掛金が回収できないとき、まずやるべきことは?
売掛金が回収できないときは、取引先の経済状況や支払いの意思の有無を正確に見きわめて、冷静に対処することが大切です。
<売掛金が回収できないとき、まずやるべきこと>
1:取引先の担当者に連絡する
2:出荷・取引を停止する
3:内容証明郵便を送る
これらの3つの対処法について、それぞれ解説していきます。
1:取引先の担当者に連絡する
売掛金が未回収の状況でも、担当者が忘れているだけの可能性があるため、まずは未払いであることを取引先の担当者に連絡しましょう。担当者が失念しているだけなら、振り込まれていない事実を連絡するだけですぐに支払ってもらえる可能性があります。また、請求手続きのミスや商品・サービスの不備などの自社内に問題がある場合は、請求書の訂正や対象商品の不具合の解消をすることで、支払ってもらえることもあるでしょう。仮に、取引先の支払い能力が低下している場合でも、分割払いや支払期日を延長することで対応してもらえる可能性も十分考えられます。
まずは、取引先の担当者と交渉して、支払える内容や期日を確認し、回収できるようにすすめることが大切です。
2:出荷・取引を停止する
売掛金の支払いを求めても対応してもらえない場合、そのまま放置すると、未入金額が増え、損失が大きくなってしまう可能性があるため、出荷・取引の停止を検討しましょう。契約書を交わしているなら、売掛金の未払いがある場合に取引を停止する旨の条項が記載されていることが多く、出荷・取引を停止してもトラブルに発展するリスクは少ないです。私が取引先の担当者の立場なら、出荷・取引の停止の通知をされるだけで焦ると思うので、支払いを早める効果にもつながるのではないでしょうか。
3:内容証明郵便を送る
売掛金が回収できない場合は、支払いがされていない旨を記載した内容証明郵便を送付する方法も効果的です。内容証明郵便を送付しておけば、請求金額や請求内容が記録として残るため、仮に裁判になった場合でも、取引先が正当な理由なく支払っていないことを根拠づける証拠として使えます。弁護士に依頼し、弁護士名義で内容証明郵便を送付すれば、取引先にプレッシャーを与えることができ、支払い対応してもらえる可能性が高まります。また、内容証明郵便の送付には、売掛金の消滅時効を一時的に中断する効果もあるため、回収までに時間がかかりそうな場合にも効果的な方法といえるでしょう。
売掛金が回収できない3つのリスク
売掛金が回収できない状態のまま放置していると、具体的にどのような問題が発生するのかイメージできていない企業の人もいるでしょう。ここでは、売掛金が回収できないことで発生する3つのリスクを解説していきます。
キャッシュフローの悪化
売掛金の未回収を放置していると、自社のキャッシュフローに悪影響を与える可能性があります。キャッシュフローが悪化すると、通常であれば、投資にまわしたり人件費の支払いに使ったりできていたはずの資金がなくなるため、不足分を銀行からの借入などの方法で新たに調達しなければなりません。できる限り早めに回収しないと、収支上は利益が出ていても、支払いに必要な資金が不足している「黒字倒産」に陥る危険性も出てくるでしょう。
社会的信頼の失墜
売掛金の回収ができない状態で放置していると、「資金繰りが悪化している取引先を見抜けない企業」と判断され、社会的信用を失う可能性があります。取引先の管理ができない企業は、適切な信用調査を実施していない可能性が高く、社会的に信頼されなくても仕方がないといえます。自社を信用してもらい、別の取引に影響を与えないためにも、売掛金はできる限り早めに回収する必要があるといえるでしょう。
倒産リスク
取引先の資金繰りが厳しくなり、売掛金の支払いが滞っている場合は、相手企業が倒産するリスクも考慮しなければなりません。取引先が倒産し、売掛金が回収できないことでキャッシュフローが悪化すると、最悪の場合、自社まで連鎖倒産してしまう可能性もあります。少しでも多くの売掛金を回収するためにも早めに対処する必要があります。
売掛金が回収不能になった場合の7つの対応策
売掛金が回収できないと判断される状況であっても、必ずしも損失につながるとは限りません。ここからは、売掛金が回収不能になった場合の対応策を7つご紹介します。
①回収できない理由を明確にする
売掛金が回収不能になった場合は、入金がないことを取引先に連絡し、回収できない理由を明確にすることが大切です。今、経営的に苦しい状況である場合や、他社からの入金待ちで支払いができないことが理由の場合は、支払期限を延長するだけで売掛金を回収できる可能性があります。私が取引先の立場で経済状況の悪化が理由ならすぐに報告しますが、実際の企業のなかには、業績悪化を伝えづらいケースも多いでしょう。
②買掛金と相殺する
取引先に対して買掛金がある場合は、売掛金と相殺することで、実質的に回収可能とみなすケースもあります。売掛金の支払期限が過ぎているなら、仮に取引先が破産や民事再生をしていた場合であっても、同意を得ることなく買掛金と相殺することが可能です。
③商品を回収する
取引先の資金不足で、売掛金が回収できそうにない場合は、取引先の同意を得てから、販売した商品を回収するのも1つの方法です。ただし、取引先の同意なく商品回収を強行した場合、窃盗罪が成立してしまうため、たとえ売掛金の支払期限を過ぎていたとしても注意が必要です。
④債権譲渡を受ける
取引先が所有する第三者の債権を譲り受けることで、実質的に売掛金の回収を行う方法もあります。取引先に現金化できる資産がない状況でも、第三者との取引で入金待ちとなっている売掛金を保有している場合があるためです。取引先から「現金の支払いができない代わりに、債権を譲渡したい」と相談があった場合には、売掛金の回収額と比較して受け入れるか判断するようにしましょう。
⑤訴訟を起こす
支払いの催告などを行っても売掛金の回収ができそうにない場合は、訴訟を起こすことも検討しましょう。
<法的手続きの種類>
・支払督促
・少額訴訟
・民事調停
・通常訴訟
訴訟を起こして売掛金を回収する際は、専門的な知識が求められるため、債権回収を専門とする弁護士に相談すれば安心です。
⑥貸倒損失として処理する
売掛金が回収不能になった場合は、損失額を貸倒損失として処理できます。税法上の要件さえ満たしていれば、確定申告を行う際に、未回収分を貸倒損失の勘定科目で申告することで損金として算入することが可能です。
⑦取引企業倒産対応資金(セーフティネット貸付)を利用する
取引先の倒産により売掛金が回収不能になった結果、自社の経営が難しくなった場合は、日本政策金融公庫の「取引企業倒産対応資金(セーフティネット貸付)」を利用して融資を受けられます。あくまで融資なので、定められた期間内に返済の必要がありますが、倒産した取引先の売掛金が50万円以上の場合は、事業の運転資金を心配する必要性が低くなるでしょう。
回収不能にならないよう与信管理を徹底することが大切
売掛金の未回収リスクを軽減するためには、与信管理を徹底することが大切です。与信管理とは、定期的に取引先の与信調査を行い、取引を行うかどうか、どの程度の与信限度額を付与するかなどを、債務の履行状況に応じて、見直す活動のことを指します。
与信管理を徹底すれば、売掛金の支払いが滞る可能性がある企業との取引を、未然に回避できるため、回収不能になるリスクを軽減できます。
まとめ
今回は、売掛金が回収できないときにやるべきことや、発生するリスク、回収不能になった場合の7つの対応策について解説してきました。
売掛金が回収できない場合は、キャッシュフローの悪化や倒産のリスクを抱えることになるため、取引先に連絡したり取引を停止したりと早めに対応することが大切です。ただし一度売掛金が回収不能になってしまうと、どうしても回収業務に大きな手間がかかってしまい、日常業務にも支障をきたしかねません。売掛金をできない状況を回避するためには、徹底した与信管理を行い未回収リスクを軽減することが重要です。
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