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自社開発したソフトウェアの著作権や契約書に関する注意点を紹介

知らなかったは損をする、ソフトウェア開発について

著作権

ソフトウェア開発と言っても厳密にエンジニアを雇用して開発することは難しい為、自社オリジナルであっても開発は外注企業・個人に依頼することが多いと思います。自社オリジナルであっても著作権は開発者にある場合が多い為、契約の段階で著作権も譲渡して貰える会社選びが必要です。更にプログラムにも開発者のクセがあったり、簡単に修正できないように開発者パスワードが設定されている場合もありますので、その辺も明記している会社選びが重要です。結果的に開発企業に修正を依存する形になると、開発費用は安く抑える事ができても修正費用がかなり高いことも結構あります。仮に1つのソフトウェアの開発を行う場合に見積もり差は300万円・500万円・1000万円・1500万円位まで幅があります。よって最初は簡単(小さい)なソフトウェアを依頼して、何社かと取引を重ねてから、本命のソフトウェア開発を行った方が失敗するリスクは抑えられます。ソフトウェア開発には失敗や費用が当初より大幅に上がることは想定に入れておいた方が良いでしょう。

著作権とは何か?

あらゆる創作物には著作権が付与されています。著作権は、創作物の作者にとって、自身の利益を守るための重要な権利です。また、創作物の利用者は、著作権の侵害によって大きなペナルティーを課される可能性があります。本項目では、著作権の概要と著作者になるための条件や、著作権の侵害について紹介します。

著作権は自動的に発生する権利

著作権とは、文化的な著作物の作者が有する著作権法上の権利のことです。文化的な著作物とは、主に文学・音楽・学術・美術といった、思想や感情などを表現した創造物のことで、コンピュータープログラムによるソフトウェアも含まれます。著作権は、創作を行った時点で自動的に権利が発生します(無方式主義)。そのため、権利を発生させるための手続きが必要ありません。なお、一度発生した著作権は、原則として著作者の没後70年間は保護されます。

著作権の2つの権利

著作権は、著作者人格権と財産権の2つに大別されます。著作者人格権(一身専属権)は、著作者だけが有する権利で譲渡や相続はできません。著作者の没後も一定の範囲で保護されますが、原則として著作者が没した時点で消滅します。一方の財産権は、その権利の一部や全部の譲渡や相続が可能です。そのため、譲渡や相続を行うことで、著作者の没後も著作権を消滅させずに存続させられます。

著作者になるための条件

個人と法人によって、著作者になるための条件は異なります。個人の場合は、著作物を創作した時点で著作者になります。複数人が共同で創作した場合は、創作に寄与した全員が著作者です。一方の法人著作(職務著作)の場合は、以下の5つの要件を満たす必要があります。なお、一般的にソフトウェアの自社開発に関しては、法人著作が該当します。

・法人などの発意に基づき作成されるもの
・法人などの業務に従事する者により作成されるもの
・法人などの従業者の職務上作成されるもの
・法人などの著作名義の下に公表するもの(コンピュータープログラムの著作物に関しては不要)
・法人内部の契約や勤務規則などに別段の定めがないこと

著作権の侵害とは

一定の条件を満たした場合のみ著作権が制限され、誰もが著作物を自由に利用できます(著作権法第30条)。その場合、著作者人格権は制限を受けません。ただし、一定の条件を満たさずに他者の著作物を利用した場合は、著作権の侵害になります。また、著作権の許諾を得ずに著作物の内容などを改変することは、著作人格権の侵害に該当する可能性があります。なお、著作者に無断でコピーされた著作物であることを知ったうえでの頒布やそのための所持、著作物の権利管理情報の改変といった行為も著作権の侵害です。

著作権の侵害が確認された場合、著作権者は侵害者に対して、侵害行為の差止め・損害賠償・不当利得の返還・名誉回復などの措置といった請求が可能になります。これら請求は、弁護士や弁理士などに相談したうえで、著作権者が侵害者に対して直接行うことも可能です。直接交渉で相手が認めない場合は、損害賠償請求訴訟を起こして裁判所の判断を仰ぐことになります。なお、著作権の侵害は、著作権法上の犯罪行為です。そのため、著作権者が侵害者を刑事告訴して有罪となった場合には、最高で10年以下の懲役または1000万円以下の罰金が課される可能性があります。なお、法人が著作権を侵害(著作者人格権を除く)した場合は3億円以下の罰金です。

ソフトウェアを自社開発した場合の著作権に関する注意点と対策

ソフトウェアの主な開発方法には、自社の開発部で行う場合とベンダーに委託する場合の2通りが考えられます。どちらで開発しても、自社開発のソフトウェアとして市場に流通させることは可能です。ただし、著作権に関しては別問題です。本項目では、ソフトウェアを自社開発した場合の著作権に関する注意点と対策について紹介します。

自社開発したソフトウェアの著作権の帰属先とは

著作権法第15条には、自社の開発部で行った場合の著作権は、その企業に帰属することが明記されています。そのため、企業と社員の間で著作権が問題になるケースはほぼありません。ただ、それでも心配であれば、雇用契約時にその旨を明記した契約書を交わしておくと安心です。問題は、ベンダーに委託するケースです。その場合、原則として著作権法上の著作権はベンダーに付与されます(著作権法第15条)。

著作権が外部ベンダーに帰属した場合の問題点

ソフトウェアの開発をベンダーに委託しても、その製品をユーザーとして利用するのであれば特段の問題はありません。ただ、そのソフトウェアを自社で改変する場合には、一定の問題が生じます。上記のように、条件を満たしていれば著作物の利用は可能です。ただし、内容の改変には、原則著作権者の許諾が必要です。そのため、ソフトウェアのパッケージやダウンロード版として提供したくても、ベンダーの許諾がなければ実現しません。法律上、著作権の共有も可能ですが、ベンダーの多くは拒否すると考えます。その理由は、次の通りです。

ベンダーは、複数の企業から同じような機能を持つソフトウェアの開発を受託しています。同じ内容のソフトウェアを開発するのなら、自社が著作権を持つソフトウェアのプログラムを改変したほうが効率的です。ところが、著作権を他企業と共有した場合、そのソフトウェアの改変や利用には、共有企業の同意や合意が必要(著作権法第65条)になります。そのため、ベンダーの多くはソフトウェアの自由な改変や、利用が制限されかねない著作権の共有には否定的な場合が少なくありません。著作権の譲渡を要請するという方法もありますが、多くの利益をもたらす著作権をベンダーが手放す可能性は低いと考えます。

ソフトウェアをベンダーに委託する際の著作権対策

ソフトウェア開発をベンダーに委託する際に重要になるのが著作権対策です。著作権法では、ベンダーに開発を委託したソフトウェアの著作権は、ベンダーに付与されてしまいます。法律が壁になるため、委託も自社開発に該当することを主張しても認められる可能性は低いです。このような事態を避けるためには、契約前にベンダーと著作権に関する話し合いを行って、お互い同意のうえで契約書を交わしておくことが大切です。

契約を交わすうえで重要な3つの要素

ベンダーと契約を交わす際に重要になる要素は、許諾範囲・許諾地域・独占形態の有無の3点です。許諾範囲とは、どの権利を許諾するかを話し合って決定することです。著作権は、著作者人格権が3種類、財産権では11種類に分類されています。そのため、お互いにどの著作権を許諾するかを前もって整理しておく必要があります。許諾地域とは、ソフトウェアを提供する地域のことです。ソフトウェアは日本国内だけでなく、海外でも販売するケースが少なくありません。そのため、国内の権利だけでなく、海外における権利の許諾についても合意が必要です。

独占形態の有無とは、権利の許諾に著作権者の許可が必要かどうかを確認することです。許諾範囲を決定していても、販売段階になってベンダーが、「著作権者の許可が必要」だと言い出す可能性も考えられます。そのような事態を避けるためにも、独占形態の有無の確認は必ず行っておくことが大切です。これら3点は、ソフトウェア開発をベンダーに委託する際に必ず契約書に明記しておきたい事項です。この他にも、元請けベンダーが下請けベンダーに委託した場合の取り扱いについても明記しておくことで、著作権に関するトラブルの防止に役立ちます。

自社開発のソフトウェアもアップデートが必要

WindowsやMacが提供するOS(オペレーティングシステム)は、定期的なアップデート(更新)が必要です。OSと同様に、自社開発のソフトウェアも定期的なアップデートが必要になります。本項目では、自社開発のソフトウェアにアップデートが必要な理由などを解説します。

ソフトウェアのアップデートとは

ソフトウェアのファイルに記録されているデータの更新をアップデートと呼びます。WindowsやMacのアップデートは、主に機能の追加と性能の向上や、不具合を修正するために行われています。なお、機能の追加と性能を向上するために行うのは通常のアップデートで、不具合の修正は緊急的なアップデートです。

ソフトウェアのアップデートが必要な理由

アップデートを行わないと、新しい機能が利用できないだけでなく、処理速度が遅くなったり新たなウイルスに感染したりするリスクが高まります。WindowsやMacがユーザーにソフトウェアのアップデートを呼びかけるのは、こういった理由があるためです。これは、自社開発のソフトウェアであっても同様です。自社開発のソフトウェアもOSと同じく、高度な要件定義や設計、プログラミングによってハードウェアを制御する役割を担っています。そのため、OSと同様に定期的なアップデートは欠かせません。なかでも、特に重要なのが不具合の修正です。

ソフトウェアにおける不具合とは、設計やプログラミングのミスなどによる欠陥のことで、発見した場合には迅速な修正が必要になります。不具合が修正されていないソフトウェアは、脆弱性が高まります。脆弱性が高まると、ネットワークへの侵入やシステムの乗っ取りといった、サイバー犯罪の標的になりかねません。そのため、自社開発のソフトウェアに欠陥が発見された場合、開発者は直ちにパッチと呼ばれる修正プログラムを作成して、アップデートを行う必要があります。この対応が遅れると脆弱性を標的にしたコードが作成され、マルウェアと呼ばれる自己増殖可能なウイルスによる攻撃が始まり、修復に多くの時間と多額のコストがかかります。このような事態を招かないためにも、自社開発のソフトウェアに不具合が発見された場合は、とにかく迅速な対応が必要です。

ソフトウェアに不具合が発見されるのは、特別なことではありません。WindowsやMacでも、頻繁に不具合が見つかっています。問題は、迅速な対応が行われないことです。不具合が発見された際に迅速な対応ができないと、開発会社としての信用低下につながります。実害が発生した場合には損害賠償が請求される可能性も考えられます。そのため、定期的なアップデートによるセキュリティーの強化と、不具合が発見された際の迅速な対応は、信用されるソフトウェア開発会社になるための重要な要素の1つです。

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